再生重油(JIS K 2170)は使用済み潤滑油を主原料にした廃棄物を有効利用したリサイクル燃料です。
SDGs 観点からも環境に優しく、経済的かつエシカルな燃料です。
3E(Ecological、Economical、Ethical)重油と呼んでも良いものです。
1.性状面の特徴
再生重油(5社の平均)と市販のLSA重油と比較した性状
<一般社団法人日本海事検定協会理化学分析センター2020年12月分析データ>
再生重油 | LSA重油 | ||
密度 | 15℃ g/cm³ | 0.8642 | 0.8502 |
元素分析 炭素(C) 水素(H) | 質量% 質量% | 84.0 12.0 | 87.6 12.5 |
総発熱量 | MJ/ℓ | 38.65 | 38.68 |
真発熱量 | MJ/ℓ | 36.24 | 36.28 |
1ℓ当たりの炭素(C)質量 | kg/ℓ | 0.726 | 0.745 |
1ℓ当たりの CO₂排出量 | kg/ℓ | 2.66 | 2.73 |
<参考>
地球温暖化対策推進法(温対法)の「 温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」で
算出基準とされているCO₂排出係数(令和6年1月改定)
令和6年度報告(令和5年度の実績報告)からこの係数が適用される。
再生重油 2.64 t CO₂/kℓ、 A重油 2.75 t CO₂ /kℓ、C重油 3.10t CO₂/kℓ
再生重油とLSA重油のℓ当たりの発熱量は同等なので使用量(ℓ)は同じす。
再生重油の方が1ℓ当たりの炭素(C)質量が小さいので、LSA重油よりCO₂の発生量は少なくなります。
また、使用済み潤滑油をベースにしていることから一般重油と比較して芳香族系の炭化水素の割合が低く、
主にパラフィン系(分岐型)やナフテン系の飽和炭化水素で構成されているので着火性、燃焼性が良く、
流動点が低いのが特徴です。
2.省エネ法、温対法での再生重油の位置づけ
①改正省エネ法(2023年4月施行)に基づく定期報告書では、化石エネルギーから非化石エネルギーへの転換を促進する主旨から、従来報告義務に無かった太陽光、風力、バイオ燃料などの非化石エネルギーも報告対象となります。再生重油はこの非化石エネルギーに分類されます。
②温対法の「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」では廃棄物の有効利用の観点から廃棄物原燃料と位置づけされ、排出されるCO₂はエネルギー起源のCO₂排出量として調整後、温室効果ガス排出量報告では削除され報告対象外となります。